2014年7号 「信頼する」という力が愛である

 今年、我が家のベランダの紫陽花の小さな鉢にあふれんばかりの花々が、咲き誇りました。

3年前に買ってきたこの鉢は、翌年からは花の季節になっても咲かず、冬には葉も枯れ果てて2年を経過していました。鉢の中の土を捨てに行くのが面倒でそのまま2年も放置していて、他の植木に水をやる時、その鉢にも水がかかっていたという状態でした。ところが3年目の今年になって立派な花が咲き誇り、本当に驚きました。

素敵な花を咲かしている木を愛で育てることは誰にでも出来ますが、葉さえもない植物の命を信じ切り、愛でる事はなかなかできません。

イギリス中の問題児が集まっているサマーヒルという学校の校長の二イル氏は生徒の事を「まるで小さな悪魔のようだった。世の中を呪い、破壊的でマナーも悪く、嘘はつくし、盗みも働く、あるいは癇癪持ちですぐキレる」と述べています。ところが入学して半年もたつと、子供たちは幸福で健康になり、悪いことは何もしなくなるのです。

その間、先生達は一切の注意や叱責をせず、全面的にありのままの姿を受容し、自由を与えます。盗癖のある子に対しては、それを矯正しようとはせず、時には校長であるニイル氏が盗みに付き合うこともあったり、破壊壁のある子と一緒に窓ガラスを割ったりするというから驚きます。そんな子達は、父親の厳しい躾が恐怖感として心に定着して、父親や神のイメージを校長に投影します。その校長が自分と一緒に盗みを働くと、心の中に存在していた恐怖というトラウマが浄化され消えるのです。

日本にも落ちこぼれとされる子供達を受け入れ、彼らの隠れた宝を発掘する事に命を燃やしている師友塾の大越俊夫先生がいらっしゃいます。日夜信頼する子供たちと共に暮らし生きていらっしゃるのです。すると彼らの中の素晴らしい人間性がぐんぐん育っていくのです。

また、ネッツトヨタ南国という車のディーラーの横田氏や未来工業の山田氏等の経営者は部下に教えない、指示命令しない、注意や叱責をしない方針で、社員を無条件に受容した結果、大きな成長を遂げている企業で有名です。社員達は自分の可能性をどんどん伸ばし、仕事にやりがいを感じて楽しんでいるのです。

人間が人間として成長するには「信頼される」という愛が一番必要

成績が良く友達も多く親孝行な子や、成績優秀で勤勉、有能な社員を信頼することは簡単ですが、逆に反発的、ひきこもり、勉強もできない、消極的、落ちこぼれ状態の子や社員を信頼しつくす事は、大変難しいことです。しかし人間がすくすくその芽を伸ばすには、植物のように水や栄養だけを与えていればいいわけではありません。それでは才能も愛も人間性も育ちません。信頼されるとういう、愛のエネルギーが一番大切なのです。

人間はみんな、ただそこに存在するだけですばらしい存在である

人を信頼するということは、表面の性格や能力ややる気を見るのではなく、その奥に存在する仏性や神性、つまり絶対の愛を信頼し引き出すことなのです。そして愛は無限の能力、可能性の種子でもあるのです。ありがとうございます。

のさかれいこ