2013年10月号 与えれば与えられる

 私達人間は、際限なく求め続けます。お金が欲しい、快適な住まいが欲しい、車が欲しい、愛情が欲しい、能力が欲しい、下位でみじめなのはいや、上位の立場でいたい、健康な体が欲しいなど、キリがありません。求めていつでもすんなりと手に入ればハッピーなのですが、あがいても努力しても手に入らない時に、人々はもがき焦り、嫉妬します。

 

 人間は、自分の欲得のため努力してゲットできる物事では本当の幸せにはなれません。家が建った、仕事に成功、恋の成就などは一時的な満足感や快感を味わえるため、それを幸せと勘違いしてしまいますが、この快感が実は危険が一杯なのです。というのは、この快感は次なる不安感や落ち込み、挫折の原因となるからです。例えば、高級牛肉を一度も食べたことがない人は、並肉をまずいとは感じません。一度味わった快感は次なる不快感の基になるのです。現実世界では、まるで波のように「上がったら必ず下がる」という絶対法則が働いているのです。

フィギュアスケート選手の髙橋大輔氏の苦悩を特集した番組で、足の故障で4回転ジャンプが出来なくなった苦しみは肩に重くのしかかり、後輩選手の大成功の演技を食い入るように見つめる彼の目は、後輩の成功への拍手よりも、追い抜かれていく恐れや悔しさがにじみ出ているようでした。事実インタビューでも、「怖い相手です」と後輩の事を話していました。もし、4回転ジャンプが成功し、各大会優勝やオリンピックで銅メダルを取るという偉業と栄光を手に入れることがなければ無かった彼の苦悩です。もちろん、挫折を基に新たな挑戦をすることは進歩のために必要なのですが、それは自分の栄光のためではなく、競技は相手の力を引き出し、自分の能力も引き出してもらうためであり、そして応援する人にも希望とパワーを与えるためです。日本でオリンピックが開催されますが、オリンピックのある年には世界中の犯罪率がアップするとのこと、それは世界中の人が競争エネルギーを出し、栄光に酔うからですね。

 

 本当の幸せ、崩れることのない幸せは、どうすれば手に入るのでしょうか?

 それは与える事の中にのみあるのです。「与えれば与えられる」というのは真理です。しかも、与えるとさらに大きなプレゼントを与えられるのです。自分の自由を捧げつくしたら、さらに大きな無条件の自由を与えられます。与えるとは、お金や物や手助けだけではありません。自分の働きを通じて素晴らしい光、命のエネルギーを与えるのです。すると、与えられた人はとても元気になり、能力や直感力が優れてゆき、愛のパワーに満たされます。

 与えた結果として、愛を持って与えられた時に、人は大きな大きな安心感と幸せ感を心一杯に受取り、崩れることのない幸せを感じて生きることができるのです。

 そんな愛一杯を与える事を徳積みと言います。徳を積んだ経営者の会社は、社員もお客様も幸せ感に満たされ元気になり、ますます繁栄します。立派な経営者はこぞって徳積みを目標にします。自分の人生の経営者は自分。徳のある人生経営者になりましょう。

そして、何より一番の徳積みの方法は感謝行なのです。ありがとうございます。

 

のさかれいこ